自賠責基準とは(自賠責保険基準)

公開日:2016-04-30 |最終更新日:2022-01-23

交通事故の自賠責保険基準

交通事故における「自賠責基準」とは、自賠責保険の算定基準のことです。

交通事故で傷害などの損害を負った場合の計算方法には、3つの算定基準があります。
これらの算定基準のうち、どの基準を採用するかによって、交通事故における損害賠償の金額が大きく変わってきます。

交通事故における賠償額算定の3つの基準は、次のとおりです。

この中で、自賠責基準とは、自賠責保険から損害賠償を受ける場合の計算方法となる基準です。
自賠責保険は強制加入の保険であり、被害者に対する最低限度の補償という性格があります。よって、自賠責基準は、上記の3つの基準の中でも最も金額が低くなります。

自賠責基準では交通事故物損の補償なし

自賠責基準には、物損の損害賠償はありません。
自賠責保険で補償されるのは、怪我や死亡した場合の人身損害だけです。

また、自賠責保険の補償を受けられるのは、事故の相手方の人身損害だけです。
自賠責保険の加入者自身が負傷した場合には、相手方の自賠責保険によって補償を受けることになります。

自賠責基準による交通事故人身傷害の補償

自賠責基準で算定した場合の賠償金額は、他2つの基準に比べて極めて低くなります。

以下、具体的な自賠責基準による算定金額を見てみましょう。

人身傷害の賠償額は上限120万円

人身傷害の場合には、限度額が120万円となっています。
この限度額はかなり低いので、通院治療費がかさんだ場合などには、慰謝料に充てるお金が足りなくなることなどもあります。

たとえば治療費だけで100万円かかったら、残り20万円分しか慰謝料の支払いに充てるお金がなくなります。

自賠責基準による具体的な人身傷害の賠償額

人身傷害の場合、自賠責基準で支払われる具体的な損害賠償の金額は、以下のとおりです。

  • 病院治療費(診察料、投薬料、手術費用など)・・・実費
  • 通院交通費・・・実費
  • 義肢、義眼、補聴器、松葉杖などが必要になった場合・・・実費
  • 診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書、印鑑証明等の文書料・・・実費
  • 入院雑費・・・入院1日につき1,100円
  • 近親者が12歳以下の子どもに付添看護をした場合・・・1日につき4,100円
  • 休業損害・・・1日につき5,700円〜19,000円
  • 入通院慰謝料・・・入通院1日につき一律4,200円
  • ※この場合の日数は、【実治療日数×2】と【実際の治療期間】の少ない方を採用して計算します。

交通事故による後遺障害の自賠責基準

次に、後遺障害が残った場合の自賠責基準をご紹介します。

後遺障害とは、交通事故によって傷害を負って、治療を継続してもそれ以上良くならない状態(症状固定時)に残った症状のことです。

後遺障害は1級から14級までの等級があり、それぞれについて慰謝料や逸失利益の賠償請求ができます。
自賠責保険の場合にも、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」の請求ができます。

自賠責基準による後遺障害慰謝料及び逸失利益

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによって発生する精神的損害に対する慰謝料です。
逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって充分に働けなくなるので、そのことによって失われる利益のことです。

自賠責保険の場合には、後遺障害1級から14級の各等級に応じて、後遺障害慰謝料と逸失利益の合計として4000万円から75万円の支払限度額が設けられています。

交通事故で死亡に至った場合の損害賠償

交通事故が原因で死亡するケースもあります。
自賠責基準でも、死亡損害に対する賠償金が支払われます。

自賠責基準の死亡損害の限度額は3,000万円です。
自賠責基準で支払われる死亡損害の内容と金額は、以下の通りです。

  • 葬儀費用(祭壇料や埋葬料など)・・・原則60万円
  • 死亡者本人の慰謝料・・・350万円
  • 遺族の慰謝料(被害者の父母や配偶者、子どもの場合)・・・請求者が1名なら550万円
  • 遺族の慰謝料(被害者の父母や配偶者、子どもの場合)・・・請求者が2名なら650万円
  • 遺族の慰謝料(被害者の父母や配偶者、子どもの場合)・・・請求者が3名なら750万円
  • 死亡者が扶養していた人がいる場合・・・200万円追加
  • 逸失利益(死亡事故の場合にも逸失利益が認められます)

交通事故被害は弁護士基準で示談交渉すべき

「自賠責基準」は、弁護士基準(裁判基準)よりも相当低い基準です。

弁護士に依頼されると、弁護士は最も高い基準である弁護士基準(裁判基準)で適正な賠償額を計算のうえ、示談交渉を行います。

そのため、弁護士に依頼した方が受け取れる示談金額が高くなります。
保険会社から提示された示談金額に不満を感じられた方は、一度、交通事故を専門的に扱っている弁護士にご相談ください。

なお、当事務所でも交通事故の無料相談を受け付けています。
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交通事故専門弁護士やまケン(山﨑賢一)にご相談ください。

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弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴35年。交通事故取扱開始から21年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2023年末で累計2,057件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2024年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高報酬制」で交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。