交通事故の追突事故被害で最も多い「むちうち症」とは
むちうち症とは、外部からの突発的な強い衝撃により、身体が鞭(むち)を打ったかのような形(S字)にしなったときに起こる症状のことを総称していいます。
医学的には、「頚椎捻挫(けいついねんざ)」、「腰椎捻挫(ようついねんざ)」などと呼ばれています。
以下、交通事故による、むちうち症について詳しくご説明します。
目次
交通事故によるむちうち症とは
交通事故が起こるとき、最も多い事故は、前方不注意(前方不注視、脇見運転や漫然運転など)による追突事故です。
そして、追突事故で被害者が負う傷害は、ほとんどの場合が「むちうち症(頸椎捻挫・腰椎捻挫)」です。
つまり、追突事故=むちうち症といっても過言ではありません。
追突事故の被害者の多くは、その衝撃で、首や腰などに強い負荷がかかります。
首や腰などに強い負荷がかかり、脊柱の軟部支持組織に損傷が生じると、むちうち症の症状が現れます。
交通事故直後の「むちうち症」
むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)は、症状が現れるまでに時間がかかることがあります。
人によってさまざまですが、翌日に早々現れることもあれば、数日後あるいは数ヶ月後に初めて症状が現れることもあります。
交通事故直後は、首や腰などに痛みを感じなくても、追突事故に遭ったら、まず、むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)を疑って、病院を受診する必要があります。
⇒『交通事故で「むちうち症」になってしまったら』
交通事故による「むちうち症」の症状
むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)によって、首や腰の痛みだけでなく、手や腕の動きが悪くなったり、しびれが出てきたりすることもあります。
また、天候の悪い日に痛むといった症状や、頭痛、吐き気や、耳鳴り、めまい、さらには視力低下といった重い症状が現れる場合もあります。
「むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)程度」と考えず、医師と相談の上、しっかりと適切な治療をすることが肝心です。
医師には、交通事故の日時や場所、事故に遭った状況などをできるだけ伝えて、そのむちうち症の症状が、「交通事故被害による症状」ということをハッキリさせておくことも必要です。
もし、あまり親身になってくれない医師の場合、早めに転医を考えましょう。
むちうち症の症状チェック!
- 首や腰が痛む
- 手や腕を動かしにくい
- 身体がしびれる
- 頭痛がする
- 吐き気がする
- 耳鳴りがする
- 視力の低下
追突事故に遭われたら、上記の症状がないかご確認ください。
「交通事故とは関係ないだろう」と思われがちな頭痛や耳鳴りも、むちうち症の症状のひとつの可能性があります。
交通事故による「むちうち症」のMRI検査
むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)の場合、骨には異常がないので、レントゲン検査では異常を確認することはできません。
必ず、むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)の原因である、筋・腱・靱帯の損傷を確認できる“MRI検査”を受けましょう。
後遺症認定(後遺障害等級認定)を受けるときや、相手方保険会社と損害賠償金の示談交渉をおこなう際にも、重要な資料となります。
交通事故による「むちうち症」の後遺障害等級認定
むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)の治療を受けた結果(症状固定後)、ケガの痛みが残ってしまった場合には、後遺障害の等級認定を受けましょう。
後遺障害認定の認定要件として、6ヶ月以上、医師による治療を受けることが必要です。
6ヶ月以下の通院治療では、後遺障害の認定は困難です。
また、頻度としても、最低、2日に1回は通院をおこなうべきでしょう。
後遺障害の診断書を書くのは医師
最終的に、後遺障害の診断書を書くのは、病院の医師でなければなりません。
そのため、接骨院のみに通院してしまうと、医師に後遺障害の診断書を書いてもらうことができず、むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)による後遺障害の認定を受けることができなくなります。くれぐれもご注意ください。
MRIに異常がない場合の「むちうち症」の後遺障害
MRIに異常がない場合、むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)で認定される後遺障害の等級は、14級9号(局部に神経症状を残すもの)となります。
MRIに異常がある場合の“むちうち症”の後遺障害
MRIに異常がある場合、後遺障害の等級は12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)が認定される可能性が出てきます。
たとえば、MRIに異常があり、そのために神経が圧迫を受け、圧迫された部分と関連している場所にしびれが生じている場合などに、後遺障害12級13号が認定されます。
むちうち治療の打ち切り?
むちうち症(腰椎捻挫・頸椎捻挫)の場合、保険会社は早期に治療を終了させようとする傾向があります。
例えば、保険会社から、区切りとして3ヶ月での治療打ち切りを打診された際、いかにも「治療は3ヶ月で終了しなければならない」かのような説明を受けることがありますが、そんなことはありません。
入通院先の担当医師と連携して、症状固定まで十分な治療を受けられるよう、保険会社と交渉することが必要です。
保険会社との交渉でご不安なことがあれば、お気軽に当事務所の弁護士やまケンまでご相談ください。