遷延性意識障害(植物状態)とは

公開日:2016-03-25 |最終更新日:2024-01-31

弁護士やまケン

弁護士 山﨑 賢一(東京弁護士会所属)

1989年4月に弁護士登録。通称「やまケン」。全国各地からご依頼をいただき、年間ほぼ100件以上の交通事故事案を完全成功報酬型弁護士費用特約のご利用で解決に導いています。当コラムでは、交通事故の被害に遭われた方に役立つ基礎知識を共有できればと思っています。

遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)とは、いわゆる「植物状態」のことです。

交通事故に遭って傷害を負った場合、そのまま意識が戻ることがなく植物状態になってしまうことがあります。

この状態のことを、医学的には遷延性意識障害といいます。

遷延性意識障害の判断基準

遷延性意識障害であるかどうかの判断基準は、以下のとおりです。

  1. 自力で移動できない
  2. 自力で食事ができない
  3. 失禁がある
  4. 意思疎通ができない
  5. 眼球が動いても認識はできない
  6. 意味のある発語ができない(声を出すことはある)

このような状態が6ヶ月以上続いている場合に、遷延性意識障害と診断されます。

遷延性意識障害の治療方法

遷延性意識障害になると、回復に向けての治療が難しいことが多いです。

そこで、治療方法としては、現状を維持するためのものになります。

具体的には、肺炎の防止、床ずれを起こさないようにする、関節が固まることを防止するなどの処置が必要です。

脊髄後索電気刺激、脳深部電気刺激療法、正中神経刺激法など、回復に向けた治療方法も研究されており一部で実施されていますが、すべての事例に適用できるわけではなく、必ずしも効果があるわけでもありません。

施設介護と在宅介護

遷延性意識障害の状態になると、常時、介護が必要になります。

このとき、「在宅介護または施設介護のどちらを選ぶか」という問題があります。

在宅介護

一般的に、在宅介護の方が、施設介護よりも大変だといわれています。

なぜなら、365日24時間制で介護をし続けることは、身体的にも精神的にも大きな負担がかかるからです。

心身ともに負担が大きい分、在宅介護は施設介護の2倍ほどの損害賠償額が認められるケースが多いです。
具体的には、在宅介護の場合には自宅改装費なども含まれてくるので、賠償金額が1億円以上になる場合もあります。

365日24時間制で介護をするご家族らにとって在宅介護は大変ですが、在宅介護にもメリットはあります。

  • 居住費等のかかる施設介護に比べて、金銭的な負担は軽くなる。
  • 住み慣れた家で介護をしてあげられ、自由度が高い。
  • 他の患者から肺炎や感染症がうつるなどの問題を回避しやすい。

なお、訪問介護(ホームヘルプ)の派遣など外部サービスを利用すれば、ご家族らの負担を軽くすることもできます。

厚生労働省のホームページに、介護保険が適用される各種サービスについて、情報が公開されていますのでご参照ください。
参考URL:【厚生労働省】介護サービス情報公表システム

施設介護

施設介護の場合、被害者の年齢によって変動はありますが、5000万円程度の損害賠償額になるケースが多いです。

施設介護の場合、長期間の居住費等が含まれるため費用は高額ですが、在宅介護のようにご家族らの身体や精神の負担は軽くなりますし、専門家が見守ってくれるので安心です。

遷延性意識障害の後遺障害等級

遷延性意識障害の後遺障害が残った場合、後遺障害の等級は常時介護の1級になります。
この場合、弁護士・裁判基準では、後遺障害慰謝料の金額は2800万円となります。

逸失利益計算のための労働能力喪失率は100%となり、自賠責保険による保険金の限度額は4000万円です。

このような後遺障害に関する請求をするためには、後遺障害の等級認定を受けることが必要になります。

遷延性意識障害の場合の損害賠償請求方法

交通事故で被害者が遷延性意識障害になってしまった場合、当然ながら、被害者ご本人が自身で損害賠償請求の具体的な手続きを進めていくことはできません。また、自身で後遺障害の等級認定請求をすることもできません。

そこで、ご本人の代わりに「成年後見人」を選任して、等級認定手続きや損害賠償請求をする必要があります。

成年後見とは?

成年後見とは、本人が財産管理できない状態になっている場合に、家庭裁判所に申し立てて本人に代わって財産管理してもらう人を選ぶ手続きのことです。この成年後見申立によって選任された財産管理人を「成年後見人」といいます。

成年後見の申立をする場合には、家庭裁判所に申し立てます。
この場合、候補者を立てることができます。

被害者のご家族や親族が後見人になることもできますし、交通事故の問題を相談している弁護士などがいれば、その弁護士に後見人になってもらっても良いでしょう。

後見人が決まったら、その人が後遺障害等級認定や損害賠償の手続きを具体的に進めていくことができます。

未成年後見とは?

被害者が未成年者の場合などには、両親が法定代理人となるので成年後見制度を利用しなくても、両親が代理人として後遺障害の等級認定請求をし、損害賠償手続きを進めることができます。

裁判所のホームページにも後見制度に関する情報が公開されています。
参考URL:【裁判所】後見サイト 東京家庭裁判所後見センター

ぜひ弁護士の無料相談をご利用ください

遷延性意識障害はとても重度な後遺障害であり、ご家族らの負担も重くなります。

負担が重い分、多額の損害賠償金が見込めますが、その手続きは極めて複雑になります。

弁護士のサポートがあると役立つので、一度、当事務所での無料相談をご利用されることをオススメします。

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交通事故専門弁護士やまケン(山﨑賢一)にご相談ください。

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弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴35年。交通事故取扱開始から21年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2023年末で累計2,057件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2024年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高報酬制」で交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。