明日は我が身?交通事故を起こした際にすべきこと
2016年12月に最も注目された交通事故の1つ、M-1グランプリにも輝いたお笑いコンビの男性が乗用車を運転中にタクシーと接触し、全治2週間の怪我を負わせたまま逃走したという「当て逃げ事故」。
世間を大きく賑わせたこの交通事故騒動ですが、誰しも他人事ではありません。
注意していても不意に起こってしまう交通事故。
もし、交通事故の当事者になったら、その際どのように対処(行動)すべきかご説明いたします。
目次
交通事故後の対処① 負傷者の救護
交通事故に遭ったとき、まず対処(行動)すべきことは、人命救助です。
道路交通法では、負傷者の救護が義務付けられています。
もし、交通事故の相手方が怪我を負っていても、負っていなくても、車を端に避けるなどして安全を確保しなければなりません。
事故を起こしたまま、車を道路の中央に放置しておけば、二次被害を招く恐れがあるからです。
以下、なすべき具体的な救護の方法をご紹介します。
交通事故後の救護(1) 意識と呼吸の確認
負傷者の肩を叩き、大声で呼びかけて反応があるか確認します。
ただし、反応がないからと言って、無理に体を揺するのは危険です。
続いて鼻と口に顔を寄せ、呼吸を確認します。
交通事故後の救護(2) 出血の応急処置
負傷者に出血がみられる際は、「直接圧迫止血法」を行います。
直接圧迫止血法とは、ハンカチやガーゼを患部にあてて、その上から圧迫させて止血する方法です。
止血の際の感染を防ぐため、素手では行わず、必ずビニール手袋やビニール袋を着用してください。
更に、マスクや眼鏡があると良いですね。
交通事故後の救護(3) 救急車の要請
電話で負傷者の意識や呼吸の有無、怪我の状態を伝えます。
もし、外傷が見受けられない場合でも、必ず救急車を呼びましょう。
脳や内臓が損傷している場合もありますし、事故直後のハイ状態で痛みに鈍くなっている可能性があるからです。
交通事故後の救護(4) 車と負傷者の移動
負傷者の人命救助と同じぐらい重大な義務です。
車の往来が激しい場所で事故車両や負傷者を放置していると、新たな事故(二次被害)に繋がります。
救急車を要請した後は、すみやかに事故車両と負傷者を安全な場所へ移しましょう。
ハザードランプを点灯させて、後続車に事故の存在を知らせておけば、二次被害の確率は減らせます。
仮に、負傷者が頭部の損傷を受けている場合、むやみに動かすのは危険です。
頭や首をしっかり固定させて注意しながら移動させましょう。
交通事故後の救護(5) 救護せずに逃げた場合は?
負傷者の救護と安全の確保を行わずに逃げると「救護義務違反」として、懲役や罰金の罰則が科せられる場合もありますが、人としての信用を失うことが一番の罰ではないでしょうか。
交通事故後の対処② 警察に通報
交通事故後の対処(行動)として、人命救助の次に大事なのは、警察への通報です。
交通事故の当事者は、負傷者の救護と安全確保のほか、警察へ連絡し、事故の報告をすることが義務付けられています。
交通事故への通報を怠ると、処罰の対象になり、懲役または罰金などが科される場合もありますので、必ず警察に通報しましょう。
そして、駆け付けた警察へ、以下の事項を報告しましょう。
- 交通事故が発生した日時と場所
- 死傷者の人数と負傷の程度
- 交通事故によって破損した物と破損の程度
- 事故車両の積載物
- 交通事故について対応措置
警察が到着後、当事者の供述と現場検証をもとに「実況見分調書」が作成されます(物件事故の場合は作成されません)。
実況見分調書は、後に、交通事故の過失割合の決定に大きな影響を与えることもありますので、警察へは正確に説明しましょう。
過失割合とは、当事者それぞれに、どれだけ非があるのか割合を示したものです。
仮に被害者にも過失がある場合には、加害者の過失が100%ではなくなるという訳です。
交通事故後の対処③ 保険会社へ連絡
人命救助、警察への通報・報告、次に対処(行動)すべきことは、ご加入の保険会社に連絡し、交通事故の報告をすることです。
交通事故について報告する際には、以下の事項を報告しましょう。
- 交通事故が発生した日時と場所
- 交通事故の被害状況
- 交通事故の相手方の氏名と住所
- (分かっている場合)交通事故の目撃者の氏名と住所
保険会社へ報告するためにも、事前に、交通事故の相手方の身元確認を済ませておきましょう。
お互いの運転免許証を見せ合う、名刺を交換するなども良いですね。
交通事故証明書の取得
交通事故証明書は、事故の報告を受けた任意保険会社が行う場合もあるので、ご自身で取得する必要がない場合もあります。
任意保険会社に確認しましょう。
交通事故証明書の申請方法
交通事故証明書は、最寄りの自動車安全運転センターの窓口で、申請用紙に必要事項を記入し、手数料を添えて申し込みます。
交付手数料は、1通につき540円(人件費273円+物件費267円)です。
交通事故証明書をインターネットで申請することも可能です。
インターネット申請の場合の手数料は、1通につき、交付手数料540円のほか払込手数料が発生します。
詳しくは、自動車安全運転センターの公式ホームページをご確認ください。
申請期限
人身事故の交通事故証明書は、5年以内が申請期限になり、それ以降は原則として発行されません。
長期間放置しておくことはないと思いますが、申請は早めにされた方が良いでしょう。
交通事故後の対処④ 弁護士へ相談
以上、交通事故の当事者になった際、やるべき基本的な行動をご紹介しました。
交通事故後の対処は、すべてスムーズに事が運べば言うことはありませんが、予想外の事態に発展することも少なくありません。
自力で解決しようと考えず、弁護士への相談・依頼を選択肢に加えてみましょう。
「弁護士に依頼なんて」と思うかもしれませんが、弁護士が介入することで示談交渉がスムーズに行われます。
困ったときは、まず相談から始めてみてはいかがでしょうか。
特に、弁護士費用特約があれば、費用は任意保険会社から出ますので、費用負担はなくなります。