花粉症が運転に及ぼす影響と対処法
花粉症にも、交通事故を引き起こす要因があることをご存知ですか?
花粉症の症状には鼻がムズムズする、くしゃみが出る、目の痒みなどがあります。
日常生活でも支障をきたすのですから、当然、運転にも多大な影響を及ぼすでしょう。
本日は、花粉症が運転に及ぼす危険性や交通事故の例、その対処法について、お話しいたします。
目次
運転中に起こる花粉症の危険性
花粉症は、運転中であってもお構いなしに襲ってきます。
適切な判断、集中力を要する車の運転には好ましくない状態を生み出します。
花粉症の影響で発生しやすい典型的な交通事故の例は、以下の通りです。
(1) 視野の低下
花粉による目の痒み、かすみ、涙目によって視界が確保できず、注意力が散漫になりがちです。
飛び出しや障害物を避ける際に遅れる可能性があり、信号無視や特定の場所で一時停止をしないなど、交通ルールを正しく守れなくなります。
(2) 突発的な交通事故
普段でも、くしゃみや咳は起こりますが、花粉症のくしゃみや咳は頻繁に起こります。
その際にハンドル操作を誤って路外に逸脱し、壁やガードレールに衝突してしまう危険性があります。
また、くしゃみや咳をした勢いでアクセルやブレーキを押してしまい前の車に追突する、後ろの車に追突されるなどの追突事故の発生も高まります。
(3) 居眠り運転
花粉症の薬を服用している場合、薬の種類によっては眠気をもたらすものがあります。
花粉症の症状は抑えられても、眠気によって集中力が低下したり、居眠りで交通事故を起こす危険性もあるのです。
服用する薬の問題
居眠り運転でも触れましたが、花粉症の薬には眠気を有するものがあります。
花粉症やアレルギーは『ヒスタミン』と呼ばれるホルモンが、過剰に働くことが原因だと言われています。
ヒスタミンは日中の眠気を防いで学習や労働の活動量を増やす働きがあります。
活動量を増やす働きが必要以上に活発になると、痒みや鼻水などのアレルギー症状が起こります。
それを抑えるために必要な薬が『抗ヒスタミン薬』です。
(1) 抗ヒスタミン薬
過剰になったヒスタミンをブロックし、アレルギー症状を抑える薬です。
抗ヒスタミン薬を服用すると血流から脳に運ばれ、脳内のヒスタミンをブロックします。
そうするとアレルギー症状は治まりますが、鎮静作用によって神経の伝達が鈍くなり、眠気やだるさを引き起こします。
(2) インペアード・パフォーマンス
抗ヒスタミン薬による眠気、集中力や活動力が低下している状態を『インペアード・パフォーマンス』といいます。
眠気は自覚しやすいですが、いつもより作業が捗らないなどの集中力・活動力の低下は自覚しにくいものです。
抗ヒスタミン薬の服用でなりやすいと言われ、薬選びを慎重にする必要があります。
(3) 薬を選ぶ基準
運転する際に選ぶ基準は「眠くならないこと」「インペアード・パフォーマンスが起こらないこと」が重要になります。
抗ヒスタミン薬でも脳へ運ばれなければ、眠気やインペアード・パフォーマンスが起こりにくい薬があるので、主治医や薬局で相談してみましょう。
ただ、眠くなりにくいけれど花粉症の効果が緩い場合も多いので、症状によって使い分けた方が無難です。
花粉症ドライバーが運転する際の対処法
花粉症の症状が出ていても、車の運転をしなければならない時があるかと思います。
その際には、“車内に花粉が入らないようにすること”が肝心です。
(1) 乗る前に花粉を払う
これは室内へ入るときも同じですが、外で付着した花粉は中に持ち込まないようにします。
衣類、バッグ、靴に多く付きやすいので念入りに払って、車に乗るようにしましょう。
もちろん運転手本人だけではなく、同乗者も同様です。
(2) エアコンは内気循環モードで
エアコンを使用するときは必ず内気循環モードで行います。
外気を取り入れてしまうと花粉も一緒に車の中に取り込んでしまうからです。
それと同様に、停止時や走行時に限らずなるべく窓も開けないようにしましょう。
(3) こまめに掃除を
気を付けていても入ってしまうのが花粉です。
雑巾でシートやダッシュボードを拭いたり、ハンディタイプの掃除機で座席を掃除しましょう。
(4) 眼鏡マスクは注意
マスクは花粉予防として最適ですが、眼鏡を掛けていると息で曇ってしまいます。
視界の悪化に繋がるので眼鏡を掛けてマスクをするときは、眼鏡に曇り止めを施してください。
拭くだけで曇りを予防するクロスやクリーナーが市販されています。
また、息漏れを防いで眼鏡を曇りにくくするマスクも売られているので、活用してみましょう。
(5) 花粉除け
花粉は静電気があるところに集まります。
衣類には必ず柔軟剤を使用して静電気を抑えるようにしてください。
また、静電気を発生させないようにするスプレー等もあるので、適宜利用して花粉の付着を抑えましょう。
まだ花粉症になっていない方でも、花粉症は国民病だと言われ、いつでも、誰にでも発症する可能性があります。
花粉症の方は花粉対策を念入りに、いつも以上に安全運転を心がけ、花粉症と付き合っていくことが大切です。
交通事故に遭遇してしまった際は、交通事故専門弁護士【やまケン】への相談をご検討ください。