交通事故を引き起こす睡眠時無呼吸症候群(SAS)
やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと山﨑賢一です。
交通事故被害に遭遇してしまった際は、“交通事故専門弁護士やまケン”までご相談いただければ、真摯に対応をさせていただきます。
さて、2012年、群馬県で発生した高速ツアーバスの交通事故を覚えていますか?
バスが高速道路脇の壁に激突し、死傷者を出す大事故となりました。
交通事故を起こした原因として、運転手に睡眠時無呼吸症候群(SAS)が挙げられました。
これは特殊なケースではなく、他人ごとではありません。
本日は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と居眠り運転について、お話しいたします。
目次
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)の頭文字から“SAS(サス)”とも呼ばれます。
1時間に5回以上、または7時間睡眠で30回以上、10秒以上の呼吸停止があれば睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。
しかし、睡眠中に起こるため自覚することがなかなか難しく、気付かないうちに睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症している
ケースが多くみられます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因①
睡眠中に呼吸が止まってしまう原因は主にふたつあります。
空気の通り道が狭く、喉や気道が塞がって呼吸が止まってしまう『閉塞性睡眠時無呼吸タイプ』です。
患者さんの9割程度がこちらのタイプに該当し、首や喉周りの脂肪や扁桃肥大などが要因とされています。
首が太く周りに脂肪がついている、顎が小さい(狭い)、歯並びの悪い人が患者さんの特徴です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因②
もうひとつは脳から呼吸の指令が出なくなってしまう『中枢性睡眠時無呼吸タイプ』です。
こちらのタイプの患者さんは比較的少ないと言われています。
喉や気道、肺や呼吸筋に異常がないのに無呼吸状態になる場合は、こちらのタイプになります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の運転リスク
10秒以上の呼吸停止を繰り返していると、起きてからも体に影響が出ます。
睡眠は休息の時間ですが無呼吸によって酸素が不足し、それを補おうと心拍数が上がります。
心拍数が上がると体と脳は継続的に覚醒するため、睡眠中にも関わらず体と脳は疲労していきます。
そうすると、起きても眠った気がしない、疲れが取れていない、日中に強い眠気が襲う、などの症状があらわれます。
この状態で運転をすると居眠りの確立が非常に高くなり、時には悲惨な交通事故を起こしてしまうという訳です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)セルフチェック
人に無呼吸を指摘されない限り、自覚が難しい睡眠時無呼吸症候群(SAS)。
代表的な症状を紹介しますので、ご自分でチェックしてみてください。
いびきが酷い
多少のいびきは誰でもしますが一際大きないびき、自分のいびきで起きてしまうなどの症状が頻繁にある場合は、注意が必要です。
無呼吸のあと、大きく息を吸い込もうと大きないびきになることがあるのです。
夜間のトイレ
無呼吸状態になると交感神経が活発になり、尿意を感じて頻繁にトイレへ行くようになります。
寝る前に水分を多めに取ったり、アルコールを飲んでいないのにトイレへ何度も行く場合は、無呼吸の可能性があります。
寝汗をかく
無呼吸状態で心拍数が上がると汗をかく場合があります。寝汗だけでは判断できませんが、急に寝汗をかくようになった、寒い季節なのに寝汗をかく、このようなときは睡眠中に呼吸が止まっている可能性があります。
起床時の頭痛や不快感
無呼吸状態で酸素不足になると、脳も酸欠に陥り頭痛を引き起こします。
頭痛以外にも目覚めが悪かったり、体が重い、喉がカラカラになっているなどの症状があります。
日中の眠気
無呼吸状態を繰り返していると熟睡できません。
夜に取れなかった睡眠を脳が昼間に補おうとするため、日中に強い眠気が襲います。
ほぼ毎日、日中に強い眠気がある場合は無呼吸を疑った方が良いかもしれません。
記憶力、集中力の低下
記憶や情報の整理は睡眠中に行われるのですが、じゅうぶんに睡眠が取れていないと記憶が維持できなくなります。
脳が疲労していると集中力にも悪影響が及び、作業や労働に支障をきたします。
急に物覚えが悪くなった、作業や労働の効率が悪くなった場合は注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防法
居眠り運転は大変危険です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)にならないため、予防法をご紹介します。
適正体重を目指す
無呼吸の殆どの原因は首周りの脂肪で喉や気道が狭くなっているからです。
肥満ではない方も、顎が小さいと少しの体重増加で喉や気道が狭くなる可能性があります。
適正体重を維持しておくことが大切です。
横向きで寝る
仰向けより横向きで寝ると気道の閉塞が軽減できると言われています。
それによっていびきが減り、起床の目覚めが良くなるのです。
普段仰向けに寝ている人は、抱き枕などを使用して横向きに寝ることをおすすめします。
寝酒は控える
寝る前にアルコールを飲むと筋肉が弛緩し、上気道が狭くなってしまいます。
無呼吸になる可能性があるので、寝酒は控えるようにした方が無難です。
すぐに受診
体調不良が続く、日中に眠たくてしかたない、夜寝られない、少しでもおかしいと思ったら、病院へ受診するようにしましょう。取り越し苦労でも構いません。
重大な交通事故を引き起こさないための第一歩です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の病気が知られてだいぶ経ちますが、まだ認識は高くありません。
男性は働き盛りの30~60代、女性は閉経後に発症しやすいと言われています。
自分の睡眠状態や体調を日ごろから意識しておきましょう。
交通事故に遭遇してしまった際は、交通事故専門弁護士【やまケン】への相談をご検討ください。