個人間カーシェアリング利用時の交通事故対応
やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと山﨑賢一です。
交通事故被害に遭遇してしまった際は、“交通事故専門弁護士やまケン”までご相談いただければ、真摯に対応をさせていただきます。
さて、今回は、自家用自動車を貸し出す個人間カーシェアリングついてお話しします。
自動車は、毎日は乗らなくても、持っていると便利な存在ですね。
大きな買い物、家族や友人ら複数人での外出、公共の交通機関がないエリアでの移動など、自動車を必要とするシーンは、毎日の生活のあちこちにあります。
しかし、自動車は維持費が高いのに、週末しか乗らないという方も少なくないのではないでしょうか。
そこで、使用頻度が少なく、維持費を出来るだけ抑えたいという方と、マイカーを所有していないが自動車を必要としている方との間を結ぶ、個人間のカーシェアリングが、シェアリング・エコノミー型サービスのひとつとして大変注目されています。
それでは、カーシェアリングの仕組みや特徴、利用するメリットを挙げるとともに、万が一、交通事故に遭遇した場合の対応についてご紹介します。
カーシェアリングサービスとは
カーシェアリングとは、会員の間で特定の自動車を好きな時に借りられるサービスのことをいいます。
一般的なレンタカーよりも割安で借りられるところが魅力です。
カーシェアリングのサービスを利用するためには、まず、自動車を管理する会社に会員登録をすることが必要です。
実際に、カーシェアリングで自動車を利用する際の手順は、次のとおりです。
<利用する際の手順>
- インターネットや電話で予約します。
- 自動車が置かれているステーションへ行きます。
- 予約した自動車のキーを会員カードなどを使ってグローブボックスから取り出します。
- 自動車を利用後は、元の場所へ駐車し、キーをグローブボックスなどに戻して完了です。
個人間カーシェアリングとは
従来の一般的なカーシェアリングサービスは、事業者(企業や会社)が保有する自動車を会員が利用するシステムでしたが、新しく始まったのが個人のオーナー(所有者)から自動車を借りる「個人間カーシェアリング」です。
個人間カーシェアリングは新しいサービスのため、まだご存知ない方も多いかと思いますが、従来の事業者によるカーシェアリングにはなかった魅力がいくつかあります。
例えば、2015年9月よりスタートした「anyca(エニカ)」と呼ばれる個人間カーシェアリングサービスは、一般のオーナーが自動車を使用しない時間に、自動車を借りられる仕組みになっています。
そのため従来のカーシェアリングよりも車種が豊富にあることが魅力のひとつで、月額料金や会員登録費用が無料であることも嬉しいポイントです。
サービスの利用方法はシンプルで、スマートフォンにダウンロードしたアプリから、利用日時、場所、車種を検索して、予約のリクエストを送るだけです。
自動車のオーナーから予約リクエストを認証してもらえたら、その段階で予約が確定します。
個人間での取引で最も懸念される点は、料金の支払いなどの金銭トラブルですが、個人間カーシェアリングでは、事前に登録したクレジットカードで決済されますので、現地でのお金のやり取りは一切ありません。
なお、anyca(エニカ)の場合は、1回の貸出期間の上限は8日間となっています。
カーシェアリング利用中の交通事故
個人間カーシェアリングを利用中に、万が一、交通事故に遭った場合に備えて、損害保険に関してはどのような仕組みになっているのでしょうか。
個人間カーシェアリングでは予約が確定したと同時に、自動的に、保険に加入する仕組みになっています。
補償される内容は、対人と対物の無制限です。
また、ロードアシスタントサービスもありますので、オーナー側からも安心してマイカーを提供することができます。
加入する保険は24時間365日対応になっていますので、旅行などで数日間利用する場合も安心です。
なお、交通事故被害に遭われて、保険会社から提示された示談金額(賠償金額)に納得できない場合は、お気軽に弁護士やまケンまでご相談ください。
オーナーのメリットについて
マイカーを所有していると、ローンや保険料、駐車場料金の支払いなど、維持費が発生します。
特に都心の駐車場料金は高額なところが多いので、毎月の生活費が圧迫されてしまうという方も少なくありません。
仕事でマイカー通勤をしているなど、ほぼ毎日乗るならまだしも、週末に近所の買い物に行く程度の利用頻度であれば、維持費ばかりがかかってしまいます。
そこで、個人間カーシェアリングにマイカーを提供すると、自身が使わない時間に貸し出すだけで収入を得ることができるため、その収入で支出をカバーすることができます。
貸出料金は、共同使用料の上限以内であれば自由に設定ができ、貸したいときにだけ貸すことができるので、お互いにとって好都合です。
万が一、自動車を使用した借主が、駐車違反やスピード違反などを起こした場合は、個人間カーシェアリングの運営会社がオーナーと利用者の仲介に入ってくれます。
なお、個人間カーシェアリングで得た収入は、「雑所得」になります。20万円以上になる場合は、所得申告が必要になります。
個人間カーシェアリングの注意点
個人間カーシェアリングのサービスが始まって以来、最も多いトラブルは、オーナーや利用者の遅刻です。
自動車の貸出や返却は、指定された時刻と場所で行うことになるのですが、当日、指定された時刻になっても、どちらか一方が来ないというトラブルが多発しているようです。
オーナーが最も心配するのは、自動車の損傷などのダメージかと思いますが、そのようなトラブルは現在1%未満程度で、比較的少ないようです。
個人間のカーシェアリングは、オーナーと利用者のお互いのニーズが手軽に満たされるサービスであるほか、エコにもなりうるので、今後どのように展開されていくのか注目していきたいと思います。
登録車両の台数や人気度の推移についても、継続的にチェックしていきたいですね。