ドライバーが交通事故を回避するためのポイント
やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと、山﨑賢一です。
交通事故は本来、「ちょっとした注意」を持って運転すれば、大抵の場合、防ぐことができるものです。
それにも関わらず、国内はもちろん海外でも交通事故の発生が絶えないのは、その「ちょっとした注意」が抜けたまま運転しているドライバーが多いためです。
運転に慣れていない新人ドライバーはもちろんですが、そうでなくとも、慣れてくるとだんだん惰性で運転するようになり、注意力が落ちてきます。
技術が上がっても、心に隙があれば、新人ドライバーでなくとも交通事故は起こります。とはいえ、いつも100%の注意を払い続けて運転することは不可能です。
今回の記事では、ドライバーが少ない労力で効率的に交通事故を避けるために知っておくべきポイントと、具体的な対策をまとめて解説したいと思います。
目次
交通事故が発生しやすい状況を知ろう
交通事故は、日本全国で一様に起きているわけではありません。交通事故が発生しやすい場所・時期というものがあります。
交通事故が発生しやすい状況で運転をしているときは、いつもよりもさらに意識して安全運転を心がけましょう。
交通事故が特に発生しやすいシチュエーションは、以下のとおりです。
- 市街地
- 朝、夕方、夜間
- 7月、12月
市街地の交差点
エリア別に見た場合、交通事故が発生しやすいのは市街地です。警視庁の発表しているデータによれば、全交通事故の約76%は市街地で起きています。
市街地のほうが非市街地よりも車や人が多く、道も狭いので、当然といえば当然ですが、市街地を走る際には注意が必要です。
市街地の中でも特に危険なのが交差点です。市街地全体の交通事故のうち、交差点で起きた交通事故が占める割合は約55%となっています。
朝、夕方、夜間
時間帯別に見た場合、交通事故が比較的発生しやすいのは朝、夕方、夜間です。
特に、朝の8時頃と夕方の17~18時にかけて発生件数が増えています。
交通事故の中でも死亡事故については夜間に多く起きています。
警察庁が発表したデータによれば、昼間の交通事故に対する死亡事故の割合は0.48%ですが、夜間のそれは1.29%となっています。
夜間のほうが、交通量が少ないためスピードが出やすいこと、視界が悪く気付くのが遅れることなどが原因と考えられます。
7月、12月
季節別に見た場合、交通事故が特に多いのは7月と12月です。
特に12月は、交通事故も死亡事故も最も多く発生する月であり、新人ドライバーにとっては鬼門の季節といえます。
12月は交通量も多く、さらには年末ということで気が急いでいることが原因と考えられます。
交通事故の原因を知ろう
交通事故が起きやすいシチュエーションにおいても、すべての人が交通事故を起こすわけではありません。むしろ起こさない人のほうが圧倒的に多数派です。
それでは、少数派になってしまった人たちは、なぜ交通事故を起こしてしまったのでしょうか。
警視庁のデータによれば、交通事故の原因トップ5は以下のようになっています。
- 1位:安全不確認(年間約15.5万件)
- 2位:脇見運転(年間約万8.5件)
- 3位:動静不注視(年間約5.9万件)
- 4位:漫然運転(年間約4.2万件)
- 5位:運転操作不適(年間約3.4万件)
1位の安全不確認は、一時停止や減速をしたものの、その後の安全確認(バックミラーや目視での確認)が足りないことです。
2位の脇見運転は、携帯電話やカーナビ、看板などに気を取られて前方を見ずに運転することです。
3位の動静不注視は、安全確認はしたものの、危険性を軽視することです。
4位の漫然運転は、ぼんやりと考え事をしながら運転することです。
5位の運転操作不適は、ハンドル操作ミスやブレーキとアクセルの踏み間違えなど、間違った操作をすることです。
これを見てもわかるように、交通事故が起こる主な原因は「ちょっとした注意力不足や油断」です。
教習所で習ったことをしっかり実践していれば、ほぼ避けられるはずなのに、それができなかったために交通事故を起こしてしまうのです。
交通事故を回避するための対策を知ろう
交通事故が発生しやすい状況と原因がわかったところで、ここからは、それを防ぐための対策を考えてみましょう。
体調不良・寝不足などの状況では運転しない
注意力を維持する最も効率的な方法は、体調を整えることです。
体調が悪いときは、自身でも気づかないうちに注意力が落ちているものです。体調が悪いときは無理をせず、運転そのものを控えるようにしてください。
こまめに休憩を取る
長時間かけてドライブに出かける場合などは、おおむね1時間毎に休憩を取ると、注意力の低下を最小限に抑えることが出来ます。
特に新人ドライバーのうちは、運転で思いのほか体力・精神力を消耗しがちです。
まだ疲れていないと思っていても、必ず休憩を取りましょう。
時間に余裕を持って行動する
朝や12月などに交通事故が多い原因の一つとして、ドライバー側の余裕の無さがあげられます。
技術があり体調が良くても、精神的に焦っていると思わぬミスに繋がります。
時間に余裕を持って行動すれば、精神がそれだけ安定します。
「ながら運転」を辞める
「ながら運転」とは、運転中に何か別のこと、例えば携帯電話やカーナビを見たりすることです。
新人ドライバーとして少し運転に慣れてきたときにやってしまいがちな行動です。
運転中は、携帯電話の電源を切るかドライブモードに設定し、カーナビは赤信号などで自動車が完全に停止しているとき以外には見ないようにしましょう。
同乗者がいる場合は、代わりに見てもらってもいいでしょう。
交通事故回避には集中力と心身の余裕を
前述の交通事故が発生しやすい状況では、新人ドライバーはもちろん、熟練のドライバーであっても交通事故を起こす可能性が高いです。
そのような状況で運転するときは、特に安全確認や前方注意を怠らないようにしましょう。
交通事故を防ぐためには、肉体的・精神的な余裕を持つことが肝心です。
自動車は非常に便利なものですが、ときに人の命を奪う凶器ともなり得ます。
命を奪いかねない自動車を運転するときは、体調を整え、集中することがドライバーの勤めです。
この心がけは、周囲の人ばかりでなく、ドライバー自身の人生を守る上でも大いに役立ちます。