思い込みによる交通事故の危険性
やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと、山﨑賢一です。
自動車の運転免許を取り立てのころは、近所の買い物に行くために自動車に乗るだけでも緊張の連続です。
様々な場面ですぐに危ないと感じ、運転速度を落として慎重に運転するものです。
しかし、日が経つにつれ、徐々に、思い込んだ運転をするようになり、交通事故を起こしてしまうケースが少なくありません。
今回は、そんな「思い込み」による交通事故の危険性について考えてみます。
目次
経験を積んだドライバーこそ危ない「思い込み」
人は経験を積むことで、様々な出来事に対応できるようになります。
英語が話せない人でも、英会話の経験を積むことで少しずつ話せるようになります。
じょうずに食べることができない子供も、親に手伝ってもらったり、たくさん食べこぼしをしたり、自分で食べる経験を積むことで、少しずつ上手に食べることができるようになります。
運転も、免許を取り立ての時は毎日過度に緊張し、うまく運転ができませんが、経験を積むことで少しずつ自動車の減速と加速のタイミングをつかみ、運転そのものにも慣れていきます。
一方で、経験を積むことで、「ここは普段から大丈夫だから、今日も大丈夫だろう」と思い込み、本来守るべき交通ルールを破ってしまう、あるいは危険な運転をしてしまうことがあります。
運転の経験を積んだドライバーだからこそ、自分の経験を元に思い込みをしてしまい、その結果、交通事故を起こしてしまうのです。
標識の意味をもう一度考えてみる
運転の際、守らなくてはいけないのが、交通標識に書かれている交通ルールです。
標識が掲げられている理由、それは「交通事故を未然に防ぐ」ため。
道路の幅が狭い場合には、駐車によってより幅が狭くなり、対向車と接触あるいは衝突する交通事故が起こってしまう危険性があるので「駐車禁止」というルールができ、見通しが悪く反対車線がわかりにくい場合には、追い越すことでの交通事故が起きないよう、「追い越し禁止」というルールができます。
このように、標識に従った運転をすれば、かなりの交通事故を減らすことができます。
しかし、運転の経験を積むことで、「みんなやっているから大丈夫だろう」「昨日は大丈夫だったから、今日も平気なはず」と思い込み交通ルールを守らないことが往々にしてありがちです。
自分の経験だけでなく、交通事故を減らすための交通ルールの意味を、もう一度考え直してみましょう。
「思い込み」による事故が特に起こりやすいのはここ!
思い込みによる交通事故が特に起こりやすい場所には、どこがあるのでしょうか?
それぞれ検証してみましょう。
一時停止
思い込みによって特に起こりやすいのが、一時停止しなくてはいけない場所にも関わらず、停止をせずにそのまま進行したことによる交通事故です。
「ここは自動車の通りも少ないから、今回も止まらなくて大丈夫だろう」「ここは普段から子供があまり通らないから、今日も通らないだろう」と思い込み、一時停止して安全確認をしないまま走行することで、出会いがしらの交通事故を生みます。
特に子供や自転車などは、一時停止しないと確認しづらい場所から突然飛び出してくることも考えられるため、一時停止となっている場所では必ず停止して安全確認しましょう。
場所によっては警察が一時停止をしているかどうか検問を行っていますが、それも交通事故を未然に防ぐための処置です。
右折時
右折時は対向車線の自動車が途切れると「早くいかなければ」という思いから、つい確認作業をおろそかにしがちです。
「自動車は来ていないから、大丈夫だろう」と横断歩道上の歩行者の確認をおろそかにし、交通事故を起こしてしまケースも少なくありません。
右折時には、対向車はもちろんのこと、横断歩道に歩行者がいないかを十分に確認するようにしましょう。
駐車場などの出入口
「前を走っている自動車はこのまま直進するだろう」と思い込み、車間距離を十分にとらないまま走行していた際、前の自動車が駐車場などに入ろうと減速した時、追突してしまう交通事故が起きやすくなります。
自分が直進するからといって、前の自動車も必ず直進するとは限りません。
普段から車間距離を十分にとり、前の自動車がどのような行動をとってもあわてずに対応できるようにしておきましょう。
「~してくれるだろう」という思い込みを止める!
自動車を運転する際、つい「相手はきっと待ってくれるだろう」「相手は譲ってくれるだろう」などと、相手の好意に期待してしまうことがあります。
しかし、実際に相手が期待するようなことをしてくれるとは限りません。
運転する際には常に「相手は待ってくれないかもしれない」「相手は譲らずにそのまま行ってしまうかもしれない」と常に意識しながら運転することが、交通事故を予防する上で大切です。
相手の好意を期待する「~してくれるだろう運転」を止め、自分自身に厳しい「~かもしれない運転」をすること。
これが、交通事故を未然に防ぐ一番の近道となります。