実は知らない?交通事故に備えた自動車保険
やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと、山﨑賢一です。
突然ですが、もし、あなたが自動車を運転中に、予期せぬアクシデントによって交通事故の加害者となった場合、被害者に支払わなければならない損害賠償金をすぐ簡単に支払うことができますか?
もちろん、その交通事故の被害の大きさや過失割合によって、その賠償額は大きく異なってきますが、多くの方はそう簡単に支払うことができないでしょう。
そんな時に、交通事故の加害者を、またある時は被害者を、サポートしてくれるのが自動車保険です。
今回は、皆さんが知っているようで、実は知らないテーマ「自動車保険」についてお話ししたいと思います。
自賠責保険と任意保険
自動車保険は大きく「自賠責保険」と「任意保険」の2つに分けることができます。
自賠責保険とは
自賠責保険とは正式には「自動車損害賠償責任保険」といいます。
日本国内で走行する自動車ならびに原動機付自転車(いわゆる原付)は、一部の例外を除いて、必ず加入しなければなりません(車検の際に車検の代金と併せて請求される保険料、それが自賠責保険です)。
自賠責保険は、交通事故の被害者保護を目的としており、自賠責保険に加入せずに日本国内の公道を走行することは道路交通法違反にあたり、一発で免許停止処分となってしまいます。
自賠責保険加入義務の例外
それでは、強制保険である自賠責保険にも関わらず、加入しなくてよい、または加入できない、一部の例外とはどんなものがあるのでしょうか?
①自衛隊等の任務遂行に必要な自動車
まずは、自賠責保険の加入を義務付けられていない自動車として挙げられるのが、自衛隊又は日本国内の米軍の任務を遂行するために必要となる自動車です。
②構内専用車
次に、道路以外の場所でしか走行することのない構内専用車です。
しかし、構内専用車であっても自賠責保険の加入が義務付けられていないだけであって、もし構内専用車が交通事故を起こしたら、その交通事故の損害賠償金を誰かが補償してくれることはありません。
③自賠責共済加入の自動車
また、「自賠責共済」に加入していれば、自賠責保険に加入することが義務付けられていません。
自賠責保険に加入できない自動車として、農耕用のトラクターや田植機などが挙げられます。
なぜ、これらの自動車が自賠責保険に加入できないかというと、これらは最高時速35キロ未満の自動車なので自賠責保険の対象から外れているからです。
ですが、農家の方ですと、JA共済などで任意保険に加入されていることが多いでしょう。
任意保険とは
自賠責保険は、前述の通り原則強制加入の保険ですが、これは、あくまでも交通事故の被害者の最低限の保護を目的としており、自賠責保険だけでは交通事故の損害全てを補償しきれないのが通常です。
そんな時に、自賠責保険ではカバーしきれなかった損害を補償してくれるのが、任意保険です。
任意保険の主な内容
1998年に保険が自由化されたため、各保険会社が顧客のニーズに合った、様々な内容を含む任意保険を提供しています。
以下、その中でも主な内容を紹介したいと思います。
①対人賠償保険
これは自動車等の交通事故により他人を死傷させた場合に、損害賠償金のうち自賠責保険でカバーできる範囲を超えた部分を補償する保険です。
②対物賠償保険
こちらは自動車事故により、他人の財物、例えば相手の自動車や家屋に損害を与えてしまった場合の損害賠償を補償してくれる保険です。
③人身傷害補償保険
被保険者が交通事故などで死傷した場合に、自身の過失が大きく交通事故の相手に損害賠償の請求ができない場合、自損事故であった場合などに、保険会社の規定による額が支払われる保険です。
④搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は、保険会社と契約している被保険車両の同乗者が、交通事故により死傷した場合を補償する保険です。
⑤車両保険
車両保険とは、被保険車両になんらかの損害が生じた場合に被保険者に支払われる保険です。交通事故の他、いたずらによって自動車が傷付けられたり、盗難や火災等によって損害が生じたりした場合にも対象となります。
⑥弁護士費用特約
弁護士費用特約とは自動車保険にオプションとしてプラスできるもので、被保険者が交通事故の被害者となった場合、相手方(加害者)に対して損害賠償を請求する際の弁護士費用が補償されるものです。
【注意点】弁護士費用特約
保険証券を確認すれば、その契約に弁護士費用特約が付いているかどうかが確認できます。
ここで気をつけなければいけない点は、もしあなたが交通事故の被害者となった場合に、保険会社が弁護士を紹介してきても、必ずしも、その弁護士が、交通事故の対応のプロである弁護士とは限りません。
弁護士費用特約が付されている場合には、被保険者は自由に弁護士を選ぶことができますので、しっかりとその点を留意し弁護士を選ぶべきです。
なお、弁護士費用特約は、前述のとおり、基本的には交通事故の被害者のためのものです。
弁護士の無料相談
もしご不明点があれば、まず当弁護士にご相談ください。もちろん相談したからといって、必ずご依頼頂く必要はありません。
いくら安全運転を心がけていても、世の中に自動車が走行している限り、交通事故は必ず起こり得ます。
交通事故は起きないのが1番ですが、もしも起こってしまったらその後の対応が被害者の人生を左右してしまう場合もあります。
保険についてしっかりと知り、今のあなたの保険内容を再度確認し、普段から備えることは非常に有益なことといえるでしょう。