年度別・都道府県別にみる交通事故

自動車座席

やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと、山﨑賢一です。

警視庁の発表によると、平成28年の交通事故発生件数は499,201件でした。

この数字は前年の平成27年の536,899件、平成26年の573,842件と年々減少傾向にあることを示しています。

これを、若者の自動車離れや公共交通機関の発達による自動車の保有台数自体の減少が原因であると考える方もいると思いますが、一般財団法人自動車検査登録情報協会のホームページに公開されている「わが国の自動車保有台数推移表」によれば、むしろわが国の自動車保有台数は、上記の交通事故発生件数とは異なり、年々増加傾向にあります。

そこで自動車保有台数の増加に反して、交通事故発生件数が減少している要因をいくつか考えてみたいと思います。

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交通事故発生件数が減少している要因

自動車保有台数の増加に反し、交通事故の発生件数が減少傾向にある要因として、以下の3つが考えられます。

①法改正による厳罰化

危険運転致死傷罪の新設(平成13年)及び厳罰化(平成16年)、酒気帯び運転の厳罰化(平成14年)、自動車運転過失致死傷罪の新設(平成19年)など。

これらの法改正により、今や自動車の運転手のみならず、酒類を提供した飲食店や同乗者、車両を提供した者までもが罰則の対象となり、社会全体が「飲酒運転を許さない」という風潮が強くなってきたことが、交通事故発生件数の減少に影響していると考えられます。

②自動車の安全性能が向上したこと

近年、自動車のカメラサポートシステムや自動ブレーキなど交通事故を未然に防ぐ画期的な機能が搭載された自動車が増えています。

これらの機能が搭載されたことにより、自動車同士の衝突事故や歩行者との接触事故の発生率が格段に下がっているというデータも出ています。

③警察による取り締まりの強化

警察による交通違反の取り締まりの強化も交通事故発生件数の減少に影響を与えていると考えられます。

平成11年の法改正により、携帯電話による通話はもちろん、自動車運転中に携帯電話やカーナビの画面を注視しただけでも取り締まりの対象となることとなりました。

警察による取り締まりの件数が増えれば交通事故は減少し、取り締まりの件数が減れば交通事故は増加する傾向があることは、全国的に見ても、また1つの地域だけを取り出して見てみても当てはまると言われています。

これらが交通事故発生件数が減少していることの主な要因であると考えられます。

交通事故による死亡者数が減少している要因

また、交通事故による死亡者数が減少したことについても、上記の要因とともに平成20年に後部座席のシートベルトの着用義務化がされたことが大きな要因となったと言えます。

シートベルト非着用者の交通事故による致死率は着用者のそれと比べて「14倍」というデータもあります。

その平成20年の法改正によりシートベルトの着用率も向上し、それにあいまって交通事故による死亡者数は減少しております。

現に平成28年の交通事故による死亡者数3,904人は、昭和45年の死亡者数16,765人の4分の1以下となっているのです。

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都道府県別の交通事故発生件数

続いて、警視庁の調べによる各都道府県別の交通事故発生件数(平成28年)を見てみましょう。

ベスト5

  • 1位 鳥取県 987件
  • 2位 島根県 1,314件
  • 3位 福井県 1,847件
  • 4位 秋田県 2,177件
  • 5位 高知県 2,193件

ワースト5

  • 1位 愛知県 41,551件
  • 2位 大阪府 37,920件
  • 3位 福岡県 37,308件
  • 4位 東京都 32,412件
  • 5位 静岡県 31,518件

このランキングを見ると、愛知県や大阪府など大都市圏のドライバーは運転が荒く、逆に鳥取県や島根県など人口の少ない都道府県のドライバーは常に安全運転を心がけている、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、人口が多ければそれだけ自動車の数も多いためこのデータはある意味当然といえるかもしれません。

都道府県別の免許人口あたりの交通事故発生率

そこで、各都道府県の免許人口あたりの交通事故発生率(平成28年)で見てみましょう。

ベスト5

  • 1位 鳥取県 1/388.3
  • 2位 岩手県 1/354.2
  • 3位 島根県 1/351.8
  • 4位 新潟県 1/335.2
  • 5位 秋田県 1/312.9

ワースト5

  • 1位 佐賀県 1/72.7
  • 2位 静岡県 1/81.3
  • 3位 宮崎県 1/84.5
  • 4位 福岡県 1/88.0
  • 5位 香川県 1/100.1

事故発生率を見てみると、九州など西日本に事故発生率の高い都道府県が多い傾向が見られますね。

都道府県別の交通事故致死率

致死率(交通事故の死者数※を人身事故件数で割ったもの)を都道府県別に見てみると、次のとおりです。

  • 1位 岩手県 1/32.5
  • 2位 福井県 1/36.2
  • 3位 秋田県 1/40.3
  • 4位 新潟県 1/43.9
  • 5位 島根県 1/46.9

※交通事故発生から24時間以内に死亡した者

交通事故対応のプロである弁護士にご相談ください

上記のように、これらの比較的に地方と呼ばれるような都道府県では、渋滞が多くスピードが出ていない中での交通事故が多い大都市圏と異なり、自動車の交通量が少ないため、スピードを出している状態での事故が多く発生するため、死者が出てしまうような大きな交通事故につながってしまうようです。

ちなみに、海外にも目を向けた場合に、世界各国の中でどの国が最も交通事故発生件数、また人口あたりの交通事故発生率が多いのでしょうか。

総務省統計局のホームページで公開されている「世界の統計2017」を見てみますと、交通事故発生件数・交通事故発生率ともに1位はアメリカ、そして我が国日本は、どちらとも2位につける形となってしまっています。

今回は、多くの具体的な数字を示し、みなさんにお話をさせていただきましたが、これだけ多く発生している交通事故のほとんどは、安全確認を怠ったことが原因となり発生しています。

一人一人が交通事故に対する意識をしっかり持つことによって、交通事故のリスクは減らすことができます。

しかし、そうはいっても自動車が存在する限り、交通事故は起こり、あなたが被害者となる可能性があります。

そのようなときは交通事故対応のプロである弁護士に相談しましょう。そうすればあなたにとって最善の解決へ導いてくれるでしょう。

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弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴35年。交通事故取扱開始から21年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2023年末で累計2,057件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2024年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高報酬制」で交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。