交通事故の多い時期・季節ごとの安全運転
やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと、山﨑賢一です。
交通事故は、年間通して起こりうるものですが、比較的、起こりやすい時期というものがあります。
今回は、交通事故の多い時期、季節ごとに発生しやすい交通事故の原因や注意すべきポイントについてご紹介します。
目次
交通事故件数が多い時期は7月と12月
平成25年度の警視庁の統計によると、交通事故が最も多いのは12月で58,711件、次いで7月が55,270件となっています。
年末年始は帰省、夏休みには家族旅行など交通量そのものが多くなる上に、普段は運転しないドライバーも自動車を運転する機会が増えているため、必然的に交通事故の発生率も高まっていると考えられます。
死亡交通事故になると12月が圧倒的
交通事故の発生件数では大差のない12月と7月ですが、交通事故による死者数となると、そこには大きな差が出てきます。
同じく平成25年度の警視庁の統計によると、7月の交通事故による死者数は331人なのに対し、12月は490人。1.5倍の開きがあるのです。
これは、雪や寒さによる凍結などを原因とした交通事故の危険性を如実に表した数字であると言えるのではないでしょうか。
北海道や東北などの豪雪地帯に向かう際に、スタッドレスタイヤが必要な路面状況にも関わらずノーマルタイヤで運転していたり、チェーンがないと厳しい路面状況でも装着せず走行していたり、といったドライバーを見かけることがありますが、やはり路面状況に適したタイヤで走行することが重要です。
春に注意すべきポイントは「子ども」
それでは、季節ごとに多い交通事故の傾向と、注意すべきポイントを解説したいと思います。
まずは春からご紹介していきましょう。春に注意すべきポイントは、子どもです。以下、詳しくご説明します。
新入生に注意!
どうして?と思われるかも知れませんが、入学シーズンでもある4月は、新しく学校に通う小学1年生や、中学・高校では新たに自転車通学となる新入生が誕生する季節だからです。
朝の登校時間帯や夕方の下校時刻には、まだ「通学」に慣れていない子どもたちによる急な飛び出しやはみ出しが考えられますから、それを常に念頭に置きながら、運転する必要があります。
特に危険な時期は5月以降
そして、さらに危険なのが5月以降と言われています。
実は、小学生の交通事故件数のピークは5月から7月にかけてです。
この頃は、子どもたちが通学に慣れてくる頃であり、それが油断につながって交通事故に巻き込まれてしまうのではないかと目されているのです。
春の時期の安全運転ポイント
- 登校や下校の時間帯には、常に子どもたちの様子に注意を払いながら運転する
- 学校の近くやスクールゾーンではできるだけスピードを落として運転する
夏に注意すべきポイントは「雨」
先ほど記載したとおり、交通事故の発生件数が12か月で2番目に多いのは「7月」です。
7月の交通事故が多いのは、夏休みなど純粋な交通量の増加による影響の他にも、天候による要因が考えられます。
夏に注意すべきポイントは、雨です。以下、詳しくご説明します。
梅雨時の交通事故に注意!
梅雨時は、曇天や雨による視界の悪化や、雨音による外部音の遮断などによって交通事故などの危険性が高まります。
また、水のたまった路面の場合には、タイヤと道路の接地面に水が入り込んでスケートのように滑ってしまう「ハイドロプレーニング現象」が起きやすい状況となり、スリップによる交通事故の危険性も高まります。
そして、これらは、自分だけでなく周囲のドライバーも同じ状況であるということを忘れてはいけません。
できるだけゆっくりと運転するのはもちろん、ウインカー点灯やブレーキを早めるという行動は周囲のドライバーへの意思表示にもなりますので、心がけるようにしましょう。
梅雨時には歩行者も、傘やレインコートといった雨具を使用していたり、水たまりを気にして下を向いて歩いたりします。
当然、通常時に比べれば視界も悪く注意力も散漫になるため、ドライバーにはより一層の注意が必要であると言えるでしょう。
台風やゲリラ豪雨など天候の急変に注意!
夏場には台風など雨風ともに強まる気象条件が多く発生します。
梅雨の場合と同様に交通事故の危険性が増えることになりますので、注意が必要です。
また、近年では急に激しい雨風に見舞われるゲリラ豪雨も多く、特に雨の降り初めは、乾燥している道路に雨が降ることによって、路面にたまっていた泥やホコリが水分に混ざり、通常の濡れた路面状況よりもさらに滑りやすくなってしまうので注意が必要です。
夏の時期の安全運転のポイント
- ウインカー点灯やブレーキは早めにし、スピードを落として運転する
- ワイパーやタイヤの溝などはしっかりメンテナンスしておく
- フロントガラスやサイドミラーに撥水コートすることが視界を保つのに効果的
秋に注意すべきポイントは「夕暮れ」
「10月から年末にかけて交通事故が増える」と言われている秋の時期には、どのような注意すべきポイントがあるのでしょうか。
秋に注意すべきポイントは、夕暮れです。以下、詳しくご説明します。
夕暮れ時の交通事故に注意!
そもそも日没前後の夕暮れ時は、すれ違っても相手の顔が分からないことから「誰そ彼時(たそかれどき)」と呼ばれているほど薄暗く、ドライバーが思っている以上に視野の確保が難しいため、交通事故が起きやすい時間帯です。
その中でも秋は、夏から冬にかけて次第に日没時刻が早くなっていく真っ只中です。
夏場にはまだライトを点灯させていない時間帯でも、秋になると日没時刻が少しずつ早まってくるため、すでに視認性は悪くなっているのですが、ついつい習慣でライトの点灯が遅れしまいがちになります。
さらに、この日没時刻前後は、学校や会社からの帰宅や買い物などで、歩行者や自動車の交通量が増える時間帯ですので、必然的に交通事故も増えてしまうことになります。
秋の時期の安全運転のポイント
- 早めのライトの点灯を心がける
- 周囲、特に子どもや高齢者の様子に注意を払いながら運転する
冬に注意すべきポイントは「凍結」
最後に、最も交通事故の件数が増える冬。
冬も夏と同様、天候に十分注意した運転がポイントとなります。
冬に注意すべきポイントは凍結した道路上での運転です。以下、詳しくご説明します。
雪や寒さによる凍結に注意!
冬の時期の交通事故の最大の原因は、雪や寒さによる路面の凍結です。
スリップによる交通事故が多発することになります。
薄く雪が積もっている程度でも、凍結によるスリップは十分に考えられますので油断は禁物です。
河川などにかかる橋は冷たい風が吹き抜ける場所が多く、凍結しやすいので注意しましょう。
また、靴底に雪が付着したまま運転し、ブレーキを踏もうとしたら滑ってしまって交通事故につながるというケースもあります。
夜間の走行に注意!
夜間は日中に比べて交通事故の発生する割合が2.5倍にもなりますが、冬は日照時間が最も短いため、いわゆる「夜間」が最も長くなる季節となります。
視認性が悪い上に交通量が少ないためにスピード超過になりやすいことの他、疲れにより居眠り運転が増えてしまうことも、交通事故増加の原因と考えられます。
冬の時期の安全運転のポイント
- 路面状況に適したタイヤ(スタッドレスタイヤ、チェーンなど)を装着し、速度を落として運転する
- 橋や坂など凍結しやすい場所の運転には特に注意する
- 車体(特にフロントガラスやライト)に積もった雪は除去してから運転する
- 靴底の雪も落としてから運転する
- 早めのライトの点灯を心がける
まとめ
いかがでしたでしょうか。
交通事故には、季節ごとに様々な原因があることがご理解いただけたのではないかと思います。
枕草子ではありませんが、「春は子ども、夏は雨、秋は夕暮れ、冬は凍結」に特に注意して、安全運転を心がけてください。