交通事故の危険性!雨の日の運転
やよい共同法律事務所の弁護士やまケンこと、山﨑賢一です。
2017年の夏、都心部では記録に残るような連続的な雨の日が続き、夏を例年のように堪能できなかった方も多いのではないでしょうか。
また、夏の終わり頃から秋にかけて発生する秋雨前線の影響で、不安定な天気が続きました。
雨は交通事故にもかなり大きな影響を与えています。
今回は、そんな雨の日に特に気を付けて運転しなければならない点を、長年多数の交通事故のケースを見てきた弁護士である私から、みなさんにお話したいと思います。
全日本交通安全協会の調べによると、雨の日に交通事故が起こる頻度は晴れの日のそれと比べて約5倍にもなっています。
これだけ雨の日と晴れの日で大きな数字の開きがある要因はどういったところにあるのでしょうか?
目次
雨によってできる水たまりの影響
ある程度の強さの雨が降り続くと、路面には水たまりができます。
この水たまりの上を自動車が通る際タイヤは大変滑りやすくなり、交通事故を起こす大きな要因となります。
ハイドロプレーニング現象とは
みなさんは「ハイドロプレーニング現象」という言葉を聞いたことがありますか?
これは自動車が大きな水たまりの上を走った際に、タイヤが滑ってハンドルやブレーキが効かなくなる現象のことを言います。
路面と自動車のタイヤの間に水たまりの水が入り込み、水の上を滑るような形になるためこの現象は起こります。
特に高速道路上では自動車の速度が早いため、この現象を起因とした交通事故が多く、またその速度ゆえ大きな被害を産む大事故も多く発生しています。
そして、この「ハイドロプレーニング現象」は、ある一定の状況下では誰にでも起こりうるものである、と言われています。
ハイドロプレーニング現象に直面したら
では、この状況下では不可避とも言うことのできる「ハイドロプレーニング現象」にいざ直面してしまった場合、どういった対応が可能となるのでしょうか?
実は、これに対する積極的な対応はありません。
なぜならばこの現象が起きている時点で既にハンドルもブレーキも運転手のコントロール下にはないからです。
ですから、運転手はなにもできず、クラクション等で周りの自動車に知らせつつ、自動車が減速するのを待つしかないのです。
ただ、雨天時には自動車の速度を出し過ぎないこと、タイヤの空気圧や劣化等をしっかりと事前にチェックすること、水たまりを避けて自動車を運転すること等によって、このような交通事故のリスクを未然に減少させることは可能でしょう。
雨による視界の悪化や音の遮断の影響
当然のことですが雨が降ると視界が悪くなります。
雨天での運転時にはワイパーを使用し、空も雲っているため晴天時よりも明るさがなく、運転手の視界に悪い影響を及ぼす条件が勢揃いです。
また、雨天時には、地面に叩きつけられる雨音により自動車の外の音が聞こえづらくなり、聴覚にも影響を及ぼします。
これにより、周りの自動車やバイクのエンジン音や、人間の声等に気付くことが晴天時よりも困難となります。
安全運転の心がけ
そして、視界の悪化や音の遮断は、自動車やバイクの乗車時に限った話ではありません。
自転車の運転手や歩行者にも大きく影響します。
ですから、雨天時にはしっかりと車間距離を取ること、スピードを出来るだけ抑え、ブレーキは早めに踏み、ウインカーは早め早めに出し、周りの自動車やバイクに注意を促すこと、車外の音を聞き取りやすくするために車内の音楽の音量を小さめにするなど、いつも以上に安全運転の意識を高めることが重要となります。
精神的な影響
前述の通り雨が降ると、路面の状態が悪くなり、視界の悪化や、また車外の音も聞き取りづらくなるため、運転手のストレスもいつも以上に溜まって行くこととなるでしょう。
さらに雨天時には自動車の交通量が増え、スピードもあまり出せないため、交通渋滞を多く発生させます。
雨天時の交通事故がさらなる交通渋滞を生む
そして冒頭でも申し上げた通り、雨天時の交通事故発生率は格段に上昇するため、交通事故によりさらなる渋滞をも生んでしまうケースもあります。
そんなストレスが大きくかかる状況から抜け出すため、早く目的地へ、と焦る気持ちがスピードを出し過ぎ、それが新たな交通事故へと繋がってしまうのです。
ですから、しっかりと時間に余裕を持ち、いつも以上に安全運転を心がける必要があるでしょう。
短時間集中型の豪雨のときは
雨天時でも自動車を利用しなければならない、むしろ雨天時だからこそ自動車を利用したい、といったことも多いかと思います。
事実、我々弁護士がご相談・ご依頼を受ける交通事故にも、雨天時に発生したケースが非常に多く見受けられます。
昨今では短時間に集中して降る強い雨、いわゆるゲリラ豪雨も多く、状況いかんでは安全運転を意識するだけでなく、「一旦運転をやめ停止し、雨足が弱まるまで待つ」という選択肢も充分に考慮すべきでしょう。
1つでも多くの交通事故を防ぎ1人でも交通事故による被害者を減らすために、雨天時における自動車の運転についてみなさんもしっかり考えてみましょう。