後遺障害別等級表・労働能力喪失率
交通事故の被害に遭って後遺障害が残ってしまった場合、損害賠償額の算定において、その後遺障害がどの等級に認定されるかが、とても重要なポイントとなります。
この記事では、通称・赤い本と呼ばれる書籍『民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準』(日弁連交通事故センター東京支部)に掲載されている「後遺障害別等級」と「労働能力喪失率」についてご紹介いたします。
赤い本:専門家向けの本なので、一般の方がご覧になることは、ほぼありません。
出典:青本・赤い本のご紹介(日弁連交通事故相談センター)
目次
後遺障害別等級表・労働能力喪失率
日弁連「赤い本」記載の後遺障害別等級と労働能力喪失率は以下の通りです。
赤い本 別表第1
日弁連「赤い本」別表第1記載の後遺障害別等級と労働能力喪失率は以下の通りです。
等級 | 介護を要する後遺障害 | 労働能力 喪失率 |
---|---|---|
第1級 |
|
100/100 |
第2級 |
|
100/100 |
【別表第1 備考】
各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とする。
(注)既に後遺障害のある者がさらに同一部位について後遺障害の程度を加重したときは,加重後の等級に応ずる保険金額から既にあった後遺障害の等級に応ずる保険金額を控除した金額を保険金額とする。
赤い本 別表第2
日弁連「赤い本」別表第2記載の後遺障害別等級と労働能力喪失率は以下の通りです。
等級 | 後遺障害 | 労働能力 喪失率 |
---|---|---|
第1級 |
|
100/100 |
第2級 |
|
100/100 |
第3級 |
|
100/100 |
第4級 |
|
92/100 |
第5級 |
|
79/100 |
第6級 |
|
67/100 |
第7級 |
|
56/100 |
第8級 |
|
45/100 |
第9級 |
|
35/100 |
第10級 |
|
27/100 |
第11級 |
|
20/100 |
第12級 |
|
14/100 |
第13級 |
|
9/100 |
第14級 |
|
5/100 |
【別表第2 備考】
①視力の測定は,万国式試視力表による。屈折異状のあるものについては,矯正視力について測定する。
②手指を失ったものとは,おや指は指節間関節,その他の手指は近位指節間関節以上を失ったものをいう。
③手指の用を廃したものとは,手指の末節骨の半分以上を失い,又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(おや指にあっては,指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
④足指を失ったものとは,その全部を失ったものをいう。
⑤足指の用を廃したものとは,第一の足指は末節骨の半分以上,その他の足指は遠位指節間関節以上を失ったもの又は中足指節関節若しくは近位指節間関節(第一の足指にあっては,指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
⑥各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とする。
(注1) 別表第2に定める後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の該当する等級による。しかし,下記に掲げる場合においては等級を次の通り繰上げる(別表第1の後遺障害とは併合されない)。
-
第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の等級を1級繰上げる。ただし,それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が繰上げ後の後遺障害の保険金額を下回るときはその合算額を保険金額として採用する。
-
第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の等級を2級繰上げる。
-
第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは,重い方の後遺障害の等級を3級繰上げる。
(注2) 既に後遺障害のある者がさらに同一部位について後遺障害の程度を加重したときは,加重後の等級に応ずる保険金額から既にあった後遺障害の等級に応ずる保険金額を控除した金額を保険金額とする。
後遺障害等級別の慰謝料
一般的に、保険会社からは「自賠責基準」又は「任意基準」をもとに算定した示談額が提示されます。
「自賠責基準」とは、法令で定められた最低限の補償をおこなうことを目的とした基準のことをいい、「任意基準」とは、任意保険会社各社で決められた基準のことをいいます(任意保険会社によって基準が異なります)。
しかし、裁判所は、過去の判例に基づき、後遺症慰謝料について一定の目安を掲げています。
その目安のことを「裁判基準」といいます(別称「弁護士基準」ともいいます)。これも冒頭でご紹介した赤い本に掲載されています。
「自賠責基準」と「裁判基準」、どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、この2つの基準を比較しながら、後遺障害の等級別に慰謝料の金額をまとめました。
自賠責基準と裁判基準の慰謝料比較
等級 | 慰謝料 (自賠責基準) |
慰謝料 (裁判基準) |
---|---|---|
第1級 | 1100万円 | 2800万円 |
第2級 | 958万円 | 2370万円 |
第3級 | 829万円 | 1990万円 |
第4級 | 712万円 | 1670万円 |
第5級 | 599万円 | 1400万円 |
第6級 | 498万円 | 1180万円 |
第7級 | 409万円 | 1000万円 |
第8級 | 324万円 | 830万円 |
第9級 | 245万円 | 690万円 |
第10級 | 187万円 | 550万円 |
第11級 | 135万円 | 420万円 |
第12級 | 93万円 | 290万円 |
第13級 | 57万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |
自賠責基準と裁判基準の差額
後遺障害の等級によって、後遺症慰謝料の額は大きく変わりますが、同じ等級でも「自賠責基準」と「裁判基準」で、2.5倍~3.4倍もの差額があります。
弁護士が保険会社と示談交渉するときは、この裁判基準をもとに賠償額の算定をします。そのため、別称、弁護士基準ともいいます。
後遺障害14級の自賠責基準と裁判基準
上記一覧の額を当てはめて、自賠責基準と裁判基準との差額を計算した場合
(裁判基準 110万円)-(自賠責基準 32万円)= 78万円
最下級の第14級でも78万円もの差額となります。
交通事故専門弁護士に無料相談
等級が高ければ高いほど(第1級に近づけば近づくほど)、その差額は大きくなります。
特に、既に高い等級が認定されている方や、認定される見込みのある方は、適正な後遺症慰謝料を請求するために、交通事故問題を専門的に扱っている弁護士に依頼されることをお勧めします。
ご依頼される前に無料で相談を受けられる法律事務所も数多くありますので、ぜひ無料相談をご利用ください。
もちろん当事務所でも無料相談を受け付けています。
無料相談は、何度でも、全国どこでも対応いたしますので、電話・FAX・メールにてお気軽にお問い合わせください。