交通事故で傷害を負った場合
交通事故でケガ(傷害)を負った場合、被害者は相手方加害者に対し、損害賠償請求をすることができます。
ここでは、交通事故によりケガ(傷害)を負った場合に、賠償請求できる損害の内容について、具体的にご説明します。
目次
損害賠償請求の内容
交通事故の被害に遭われた場合に発生する損害は、交通事故一般論でご紹介したとおり、以下の4種類に分かれます。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
- 物損
4種類の損害のうち、交通事故によりケガ(傷害)を負った場合は、物損を除く、3つの損害が関わってきます。
以下、一例を挙げながらご説明していきます。
交通事故で傷害を負った場合
交通事故でケガ(傷害)を負った場合、一般的な請求内容は、入通院治療にかかった費用、仕事を休まざるを得なかった分の休業損害、精神的な損害として傷害慰謝料等が挙げられます。
その他、後遺障害が残ってしまった場合、傷害慰謝料とは別途、後遺障害慰謝料や、後遺障害に伴う逸失利益も、交通事故による損害として請求することができます。
傷害を負った場合の積極損害
交通事故でケガ(傷害)を負った場合の積極損害として、医療費・通院交通費などが挙げられます。
医療費・通院交通費等
ケガの治療費や付添看護費、入院にかかる雑費、病院に通う際の交通費等の費用です。
これらの費用は、交通事故が原因で、実際に支出しなければならなかったことによる損害なので、積極損害に当たります。
傷害を負った場合の消極損害
交通事故でケガ(傷害)を負った場合の消極損害として、休業損害が挙げられます。
休業損害
休業損害とは、交通事故が原因でケガ(傷害)を負い、それにより働けなくなった場合に発生する損害です。
休業損害は、交通事故が原因で、本来得られるべき収入が得られなくなったことによる損害なので、消極損害に当たります。
給与所得者(会社員等など勤め人)、事業所得者(会社経営者等)、会社役員、家事従事者(主婦や主夫)等、職業によって損害額を算出する計算方法が異なります。
※別記事「休業損害とは/休業損害の算出方法」もあわせてご覧ください。
傷害を負った場合の慰謝料
交通事故でケガ(傷害)を負った場合、その精神的な損害のことを傷害慰謝料、または入通院慰謝料といいます。
ケガ(傷害)の程度等によって、精神的な苦痛の度合いは、被害者によって個人差があります。
しかし、実務的には、ケガ(傷害)の治療に要した期間等によって、傷害慰謝料の金額が決まります。
傷害慰謝料の金額
具体的には、症状固定までの入通院期間や通院日数等が、傷害慰謝料の金額を算定する上での基礎となります。
例えば、以下のような場合、傷害慰謝料は83万円程度が裁判基準の目安となります。
- むち打ち
- 事故から完治まで3ヶ月間
- 入院期間 1ヶ月
- 通院期間 2ヶ月
- 通院日数 20回
※別記事「傷害慰謝料」のページもあわせてご覧ください。
後遺障害に伴う慰謝料
治療によってケガ(傷害)が完治すれば良いのですが、完治せずに後遺障害が残ることがあります。
後遺障害の等級が認定された場合には、傷害慰謝料とは別途、後遺障害慰謝料も請求することができます。
後遺障害慰謝料の金額
後遺障害慰謝料の金額は、第1級(金2,800万円程度)から第14級(金110万円程度)まで、障害の程度によってさまざまです。
※後遺障害等級別の慰謝料額について、詳細は「後遺障害別等級表・労働能力喪失率」のページを参照ください。
後遺障害に伴う逸失利益
症状固定後、後遺障害の等級が認定された場合、後遺障害慰謝料の他、後遺障害に伴う逸失利益も請求することができます。
後遺障害逸失利益の金額
後遺障害に伴う逸失利益の金額を算出する際には、後遺障害が残ったことによって、被害者の労働能力がどのくらい低下したか、どのくらい収入が減少したか、失業や転職など不利益の可能性があるか等の事柄が考慮されます。
別記事「後遺症による逸失利益の算定方法は」もあわせてご覧ください。
交通事故の過失割合と過失相殺
上記では請求できる損害の内容をご紹介しましたが、必ずしも相手方(加害者側)に100%の過失があるとは限りません。過失とは、落ち度のことをいいます。
加害者側に80%、被害者側に20%の過失があるなど、もし被害者側にも過失が認められる場合、その過失の割合によって、損害賠償請求できる金額が減ることになります。
※「過失割合・過失相殺」のページもあわせてご覧ください。
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